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スポーツ障害とは

スポーツ障害とは、繰り返し同じ動きをしてある一定の部位に負荷がかかることによって痛みが生じることで、その痛みが慢性的に続くことです。少しずつダメージを受けていくので、疲労から過労になり、さらに悪化して病気になってようやく気が付きます。
スポーツ障害には性別、年齢、スポーツ種目によってそれぞれ特徴があるため、運動中に気を付けることや運動後のケアなどや含めしっかりを理解し実践します。

スポーツ障害に対応する時の考え方「なんで痛くなったの?」

スポーツ動作は繰り返し同じような動きを行います。その1回1回の動きの質を見直し関節や筋肉に負担がかかりすぎないようにすることが重要になります。一度休んで一時的に痛みが退いても運動を再開するとまた症状が再燃することは珍しくありません。

「なんで痛くなったの?」その素朴な疑問に対して向き合うことがスタートラインです。

野球肩

野球肩とは、野球に限らず頭の上で腕を大きく振る動作を繰り返すスポーツ(テニス、水泳、やり投げ等)で生じる肩の痛みです。原因は肩の使いすぎだけではなく、正しいフォームで投球動作、サーブなどができていないことも考えられます。また肩甲骨や背中、下半身が上手く使えておらず、肩だけに負担が集中していることもあります。同じ症状を再発させないためにも、正しいフォームでスポーツを行うことが大切です。

野球肘

野球肘とは、成長期にボールを投げすぎることによって生じる肘の傷害のことをいい、投球動作によって肘が痛くなります。
繰り返しボールを投げることによって肘への負担が大きくなることが原因で、肘の伸びや曲がりが悪くなったり、急に動かせなくなることもあります。痛みを我慢して投球していると、悪化し場合によっては手術が必要となることもあります。これも野球肩と同様にフォームや身体の使い方の問題があると考えられます。

テニス肘

テニス肘とは、手首を使った時に生じる肘の痛みで、ラケットを持ったり、物を持ったりするときに発症します。
テニス肘になる原因は、ラケットからボールの衝撃が手首に伝わりそのストレスが肘まで及ぶこととされています。
テニスでの発症率が高いためテニス肘と呼ばれていますが、それ以外では、ゴルフ・バドミントン・剣道などでもよく見られます。下半身や肩甲骨からの連動で身体が使えていないことが考えられます。

腰椎分離症

腰椎分離症とは、腰の疲労骨折といわれ主に発育期の青少年に起こりやすい病気です。野球、サッカー、バスケや水泳などのスポーツ中に体を沿ったり腰をひねったりする動きにより、腰椎がストレスを受けてしまうことが原因といわれています。金属疲労のメカニズムとよく似ています。対処せずに運動を続けていると、腰椎が完全に骨折してしまったり、脊髄神経を圧迫ししびれや足の痛みを伴う場合もあるので、悪化する前にしっかり治療しましょう。股関節や背中が硬く腰に負担が集中している場合や体幹が弱って腰が不安定になっているケースが多いので安静期間の間に体幹トレーニングやストレッチを行う必要があります。

オスグッド病

成長期特有の症状で、サッカーやバスケットボールをしている子供に多く見られます。骨の成長に対して筋肉の成長が追い付かず、スポーツによって各関節に負荷がかかり発症する成長痛です。
股関節が使えておらず、膝に負担が集中している状態ですので、しゃがみ方や走り方、ジャンプの仕方などを見直す必要があります。固まった筋肉のストレッチや不良姿勢を治すことも重要です。

ジャンパー膝

ジャンパー膝とは、バレーボールやバスケットボールなどジャンプを繰り返す競技に多いとされ、ジャンプ動作の繰り返しによって膝に負荷がかかり、骨と靭帯の連結部分が炎症して痛みが生じます。成長期特有の傷害で、小学校高学年~中学生にかけて最も多くみられます。オスグッド病と同じようなメカニズムで起こるので根本的には膝に負担のかかり過ぎない身体の使い方や姿勢を習得する必要があります。

疲労骨折(中足骨・脛骨)

疲労骨折とは、スポーツ中の衝突や転倒などの一回の負荷で引き起る骨折と違い、骨の同じ部位に繰り返し加わる小さな力によって骨にヒビが入ったり、骨折してしまったりすることをいいます。
疲労骨折の多い部位として、足の指の付け根の骨「中足骨」やすねの骨「脛骨」が多いとされています。
中足骨の疲労骨折はランニングやバスケットボールやラグビーなどの素早さを求められる競技や、バレエダンサーや新体操選手のようにつま先立ちしたりジャンプ動作をしたりする選手が発症しやすい病気で、脛骨の疲労骨折は、すねの骨に圧力がかかるバレーやバスケットボールなどのジャンプ競技や、サッカーやハンドボールなどのランニングの多い競技で発症しやすいとされています。骨が治るまで安静にしなければなりませんが、運動時に起こる骨にかかる引っ張りストレスや捻れストレスの問題を解決しなければならないのでランニングフォームや身体の使い方を見直す必要があります。

シンスプリント

シンスプリントとは、すねの骨の内側が痛くなる病気です。長距離を走る陸上、サッカー、バスケットボールなどをしている中高生に多くみられる病気です。原因は様々ですが、疲労がたまったり、固いグランドや路面で練習をしたり、足の形がもともと悪かったり(扁平足)、不良なランニングフォームで走り続けているととシンスプリントになりやすいと言われています。根本的には走り方を治したり、インソールで骨格の歪みを整える必要があります。

アキレス腱炎

アキレス腱炎とは、剣道や陸上、バレーやバスケットボールなどのジャンプスポーツをする人によく見られ、走ったり跳んだりする動作でアキレス腱に繰り返し負荷を掛け続けると発症します。一旦、起こしてしまうと慢性化してなかなか治らないこともあります。地面を蹴る際にアキレス腱につながるふくらはぎの筋肉を過剰に使い過ぎていると起こります。固くなった筋肉のストレッチやジャンプ動作や運動時に正しい筋肉を使う訓練が必要になります。

ハムストリングスの肉離れ

肉離れは陸上、サッカー、ラグビーなどスプリント多く行う競技に多く見られると言われています。太ももの裏の筋肉に瞬間的に大きな負荷が加わることで筋肉の繊維がちぎれてしまう状態です。一度痛めた筋肉の働きが戻らない状態でスポーツを再開すると再発する確率の高いケガです。筋肉のしなやかさや強さを取り戻すリハビリをして復帰する必要があります。

有痛性外脛骨

外脛骨とは足の舟状骨という骨の内側に存在する過剰骨(普通にはない余分な骨)に痛みが出る疾患です。成長期のスポーツ障害で代表的なものです。その外脛骨が腱に引っ張られるようなかたちになり走ったり飛んだりするときに踏ん張ろうとして症状が出ます。足のアーチが崩れていたり、走る際の足の接地のかたちが悪いと症状を悪化させることがあるので、インソールなどで土台を整え患部にかかる負担を減らす必要があります。

前十字靭帯損傷

バスケット、サッカー、スキーなど切り返しやストップ動作が多いスポーツによくみられるケガです。前十字靭帯は膝の関節を支える大黒柱的な重要な靭帯です。この靭帯が断裂すると手術を要するケースがほとんどで復帰には半年から1年かかると言われています。7:3で女性アスリートに多いといわれています。このケガに関しては予防が重要で膝を支える筋肉を普段から鍛えたり、脚の使い方を習得することで発生する確率を減らすことができます。

グロインペイン症候群

グロインペイン症候群はサッカーのキック動作やランニング、切り返し動作などの繰り返しの運動などによって鼠蹊部や下腹部、内ももの付け根などに痛みが生じます。トップレベルの選手に多くみられ、治りにくい病態です。股関節の動きが悪かったり、体全体が上手く使えずに股関節に負荷が集中することで引き起こされます。股関節のスムースな動きを再獲得して体幹の機能を高め体を使い方やボールの蹴り方を修正する必要があります。

三角骨障害

三角骨障害はクラシックバレエダンサーや新体操・サッカーなど足首を繰り返し底屈(伸ばす)させる動作を行うスポーツ選手に多くみられます。足首の後ろにある三角骨(一般的にはみられない過剰骨)と言われる骨が、足首の後ろで挟み込まれたり擦れることによって、足首の後ろに痛みが出現します。症状がひどい場合は手術で摘出することもあります。足首のスムースな動きの再獲得と足首と体全体の使い方を修正して三角骨が挟まれないようにすることが重要になります。

林中 和也

林中 和也

「あなたの専属メディカルトレーナー」理学療法士/柔道整復師/日本スポーツ協会認定アスレティックトレーナー/米国認定コンディショニング&ストレングススペシャリスト

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