どうもメディカルトレーナーの林中です。アスリートの方のためにカラダの治し方、育て方を分かりやすく指導する家庭教師です。
目次
<はじめに>
「走っていて太腿の裏がブチっと音がして走れなくなった。病院でハムストリングの肉離れと診断されて、徐々に走り始めたがずっと違和感や不安感が残る、痛みが取れない…スピードが戻らない…フォームがおかしい」
なんて事ありませんか?
この記事では陸上、サッカー(スプリント系競技)選手に多くが悩むハムストリングス肉離れ後の後遺症に関する知識や自己での対処方法、予防方法に関して説明していきます。
※今回は数週の安静期間を過ぎて「部分的に復帰している」もしくは「完全復帰している」という前提で話を進めていきます。
<再発する人の特徴>
ハムストリングスの肉離れは再発する確率の高いケガの一つです。「受傷から時間が経ち痛みがなくなったから大丈夫だろう」これが一番危険です。痛めた箇所は弱ったままなのでしっかりとリハビリで機能を戻す必要があります。
柔軟性が戻っていない、しこりが残ったまま(損傷後に固くなった部分)、筋力が戻っていない、お尻や体幹の弱さがもともとある、時期にあった復帰プログラムが組めていないなどが症状が取りきれない要因と考えられます。
復帰後に症状や不安感が残ったままの方はしっかりと下記のポイントがしっかりとクリアできているか見直してみて下さい。
<ポイント1柔軟性を戻す>ハムストリングス肉離れ編
「筋肉が引っ張られる感じがする、しこりのようなものがある、違和感が残る」
肉離れをした後は筋肉の組織の修復が起こりますが、治る過程で筋肉の柔軟性が低下します。
徐々に痛みのない範囲のマイルドなストレッチ行うこと。復帰後も毎日のケアとしてフォームローラーなどでしこり(瘢痕組織)を取り除き筋肉の滑りの動きをスムーズにすることが重要です。適切なストレッチの介入は復帰までの期間を短縮させる可能性があるとう報告もあります。
①ハムストリングス アクティブストレッチ 指突っ込み
このストレッチ(Active knee extension test)で左右差がなくなるようにする事はストライドを伸ばしたランニングを開始するのに必須です。
②ハムストリングス アクティブストレッチ 胸も腿つけ
③フォームローラーでの筋膜リリース
<ポイント2筋力を戻す>ハムストリングス肉離れ編
「走っていたら筋力は自然に戻ってくるのでしょう?」
半分正解で半分間違いです。多少は戻りますが個別で痛めた部位をトレーニングをしないと競技レベルまでは回復しません。
「走れるのだけど、何か力が入りにくいままで不安感がある」という声はよく聞きます。
筋肉が痛んだ後は当然ながら筋力が弱ります。十分な筋力が再獲得されないまま競技に復帰するとその強い負荷に耐えられずに再発したり、パフォーマンスが戻らないなどの問題が起こります。
いきなり高負荷の筋トレをすると損傷した部位を傷つけてしまう可能性があるので、時期や自分の状態に応じた適切なトレーニングを痛みの感じない程度で段階的に行ってください。(ここでは筋トレの開始時期などの説明は割愛します。負荷の低いエクササイズから高いエクササイズの順に紹介していきます)
特にロシアンハムストリング(遠心性収縮トレーニング)は再発予防に効果があるという報告されていますので、おさえておきたいトレーニングですね。これは個人的な意見ですが80〜90%くらいのスピードで走れるようになった以降に開始したほうが良いと思います。
①レッグカール(ももを上げた状態キープver)
②レッグカール(抵抗ver)
③ブリッジ+レッグカール
④スプリットスクワット
⑤インバーデッドハムストリングス
⑤ロシアンハムストリングス(ペア)
<ポイント3体幹と臀筋を使えるように修正する>ハムストリングス肉離れ編
「ハムを痛めたのに体幹とか股関節って関係ないじゃん!」
いいえ、大ありです。
ハムストリングスが過剰に働きすぎる特徴を持った人が中にはいます。その人は体幹の力が弱っていたり、お尻の筋肉が十分に使えておらず骨盤が不安定になっているケースが多いです。また体幹トレーニングをしておくと再発予防にも効果があると言われています。
①ドンキーキック
②ブリッジ
③プランク足踏み
<ポイント4神経ー筋協調性、フォームを戻す>ハムストリングス肉離れ編
「なんか走り方がぎこちない、フォームが変わってしまった、腰が落ちてしまう…」
そんなお悩みをたくさんお聞きます。
怪我をすると神経と筋肉のつながりがうまくいかなくなり、スムーズに脚が動かないことが多いです。
腰の落ちたフォームになっていると再発する危険もあるので、負担のかかりにくい身体の正しい使い方を再獲得するための訓練が必要になります。
①腿上げ
②ステップアップ
③ランジウォーク
<まとめ:問題と解決方法>ハムストリングス肉離れ編
- 1、硬さが残っている→伸長しない筋肉やしこり(瘢痕組織、硬結)をストレッチや筋膜のリリースで柔らかくする
- 2、力が弱っている→走るという動きの負荷に耐えられるように筋トレで鍛え直す
- 3、骨盤周囲が安定しない→お尻や体幹をしっかりと鍛えて、ハムストリングスにかかる負担を減らす
- 4、神経と筋肉が上手く連動して働かない→神経と筋肉のつながりを活性化させる全身を使ったトレーニングを行う
上記のポイントを押さえてエクササイズを毎日繰り返しやっていただくことで「ずっと違和感や不安感が残る、痛みが取れない…スピードが戻らない…フォームがおかしい」というような症状が和らいだり、不具合が改善するかもしれません。また障害の発生予防、再発の予防にも効果があるエクササイズです。
是非取り組んでみてください。
※正確な診断には精密検査や医師によるアセスメントが必要です。(なかには治りにくいとされているハムストリングス付着部での損傷、骨化性筋炎などが存在する場合があるのでご注意してください)
※肉離れをした急性期(1〜2週間)には無理なエクササイズは行わないようにしましょう。
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