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サッカー、ラグビー選手の股関節前面痛(グロインペイン症候群) 自分で何ができるか?

どうも一叶ICHIKAメディカルトレーナーの林中と申します。

アスリートの方のためにカラダの治し方、育て方を分かりやすく指導する家庭教師です。

<はじめに>

「練習を頑張ると股関節がこわばってきて痛くなる…走ったりするのも痛くなってくる…切り返しを繰り返すと痛い、ボールが痛くて蹴れない」

なんて事ありませんか?

この記事ではサッカーやラグビー、ホッケー選手に多くが悩む股関節前面痛(グロインペイン症候群)に関する知識や自己での対処方法、予防方法に関して説明していきます。

「グロインペイン症候群を自分で治すポイントと手順」

  • ステップ1 股関節周りの筋肉の硬さをとる
  • ステップ2 骨盤の位置を整える
  • ステップ3 背中を柔らかくする
  • ステップ4 骨盤を安定させて股関節を自由に動かす
  • ステップ5 悪い使い方や悪いクセを治す

<ステップ1股関節周りの筋肉の硬さをとる>股関節前面痛/グロインペイン症候群編

グロインペイン症候群では運動による繰り返しのストレスにより炎症などが起こり、結果として股関節周りの筋肉や腹筋が硬くなって縮こまっている事が多いです。

症状が慢性化しているケースでは、ただのストレッチだけでは取りきれない硬さになっていることが多いです。その場合はフォームローラーなどのアイテムを使うと硬さが取れやすいです。

まずはしっかりと股関節の本来のスムーズな動きを取り戻す事からはじめましょう。

①「内転筋をほぐす 内もも」

太ももにポールを直角に当てて
ゆっくり体重をかけて横方向にコロコロ
特に付け根を重点的に行う

②「小臀筋、大腿筋膜張筋をほぐす お尻の横」

横向きに寝て下の足を軽く曲げる
ゆっくりと体重をかけて待つだけ、上の足を持ち上げると奥に効いてくる
ちょうどズボンのポケットにあたるところに当てる、痛気持ち良いところを探す

③「大臀筋、梨状筋をほぐす お尻」

ストレッチをかけながらお尻(左)を前後にコロコロ(足をあげている方に少し倒す)

④「ハムストリングスの付け根をほぐす もも裏」

ストレッチをかけながらもも裏(左)の付け根の硬いところをみつけて前後に小さくコロコロ

⑤腹筋をほぐす

シックスパックの筋肉のちょうど横あたり
腹筋(腹直筋)にウェーブリングやボールを当てる
うつ伏せでボールやリングを当てて思い切り深呼吸、痛みのある部位が固まっているところ

<ステップ2骨盤の位置を整える>股関節前面痛/グロインペイン症候群編

グロインペイン症候群ではバランスの悪い運動による繰り返しで左右の骨盤の位置が傾いていたり、捻れていたりすることが多いです。

写真ではウェーブリングをいう器具を使用していますが、自分で握りこぶしを作って身体に当てたり、テニスボールでも代用可能です。

①「骨盤のアライメントリセット コマネチ」

ウェーブリングやボールなどを鼠蹊部(コマネチ)の固まっているポイントに当てる
うつ伏せでボールやリングを当てて思い切り深呼吸
→お尻を左右にフリフリ揺する

②「骨盤のアライメントリセット お尻」

お尻の後ろに当てる お尻の奥の筋肉に当てる
仰向けで寝て身体の力を抜いてリラックス
→左右にゆらゆら揺する

上記は代表例です。フォームローラーを当てて痛みや硬さを感じるところ部位はしっかりとほぐしましょう(フォームローラーがなければサッカーボールなどで代用できます)。毎日のケアとして10〜15分くらいは時間をかけて行いましょう。

<ステップ3背中を柔らかくする>股関節前面痛/グロインペイン症候群編

「え?なんで?背中の硬さなんか関係あるの??」

はい、大ありです。

多くはキック動作での上半身を使ったしなりやひねりの動きが十分に行えていないがために、足だけの力でスイングをして股関節だけに負荷が大きすかかりすぎているケースが多いからです。

①「しなりを作る 胸椎伸展」

背中と腰の間に当てる
→みぞおちをぐーっと伸ばすようにして反り返る

②「ひねりの動きを作る オープンチェスト変法」

手は頭の後ろと膝に当てる、身体をクロスさせる
→ぐーっと伸びをしながら胸を開きながら背中をひねる(目線は肘に向けておく)

③「ひねりの動きを作る スコーピオン」

うつ伏せで両手を横に開く
→遠くに足を伸ばすようにして背中をひねる

<ステップ4骨盤の安定化>股関節前面痛/グロインペイン症候群編

「え?股関節が痛いって言ってるのに体幹や骨盤って関係ないじゃん!」

いいえ、大ありです。

骨盤を支える力が弱くなり結果的に股関節や恥骨に負担がかかっているケースが多くみられます。逆にいうなら骨盤をしっかり固定し支点が作れれば、股関節周りの筋肉も効率的に働く状態になり負担がかかりにくくなるという事です。骨盤ベルトを着用して症状が軽くなるようであれば、骨盤を安定させるトレーニングが有用と考えられます。

特にこのようなコアスタビリティを重視したアクティブトリートメントはマッサージや物理療法などよりも効果があるという報告もあります。

ポイントはすべてのエクササイズ中、しっかりと息を吐いて下腹部を凹ませて体幹を安定させることです。

①「下腹部の引き締め(ドローイン)」

ヘソの下から握りこぶし1個分外側に手を置いて腹横筋を触れる、鼻から息を吸う
→フゥーッと口をすぼめて細く、長く息を吐き下腹部、横っ腹を吐いて凹ます。繰り返す。

②「フロントブリッジ 足踏み」

肘を肩の真下ついて膝を90°曲げてお尻を持ち上げる
→体幹がブレないように足踏み、膝で地面を押す様にするとうまくお腹を感じられる

③「体幹と股関節の分離運動 足踏み」

前へならえをして、後頭部と背中、お尻をポールに押し付けて安定させる
→体幹の軸を探しながらそーっと左右交互に足を90°もち上げキープ5秒間

④「ロックバック お尻引き」

四つ這いになり背中をまっすぐ
→股関節を奥に収めるイメージで前後に臀部を行ったり来たり

⑤「ヒップアブダクション お尻の横」

横向きで寝てチューブを膝の上に巻く(チューブなしでも可能)
→遠くに足を伸ばすようにして上の足を持ち上げる、お尻の横の筋肉が熱くなるのを感じる

⑥「バードドッグ 背骨の伸び縮み」

四つ這いになり足を後ろに伸ばしてから手をバンザイする
→手足が遠くから引っ張られている感じで伸ばして、腹筋と背筋を効かす
背中を使って真ん中に集める 伸ばして集めての繰り返し

⑦「デッドバグ 抑えてバンザイ」

前へならえの姿勢で股関節、膝関節を90°にする
→手と膝で押し合いっこしてお腹に力が入るのを感じる
息をフーッと吐きながら
腰が反らないように下腹部に力を入れたまま、対角線にある手足を伸ばして床に近づける

<ステップ5悪い動かし方や悪いクセを治す>股関節前面痛/グロインペイン症候群編

基本の姿勢がしっかりとれていないことや蹴り方、踏ん張り方が悪いことで股関節に負担のかかりやすい状態になっているケースが多いです。休んでも運動を再開すると症状が再燃するという方は押さえておきたいポイントです。

①「姿勢(立ち方)を治す」

骨盤が前にシフトし過ぎてしまっている人は普段から股関節が不適合な位置で支えていることになるので、少し骨盤を後ろに少し引いて丹田(へその下)を意識しましょう。

お腹や骨盤が前に出たダメな立ち方
下腹部を意識した立ち方 
下腹部に手を当て1cm骨盤を後ろに引く、くるぶしの上に骨盤が位置する

②「蹴り方を治す」

丹田(へその下)を意識して、背中をしならせて手を挙げましょう(キレイな三日月型になるように)

全身を使って大きくしなりを作る 背中で力を溜めるイメージ

三日月型にしなった力の反動を使って全身でキック

インパクトの瞬間にキックした足のお尻に力を入れると痛みが和らぐ人もいます

③「踏ん張り方を治す」

切り返しやストップ動作で股関節の内側にもたれかかるように踏ん張るような悪いクセがあると股関節に負担がかかるので、骨盤を正しい位置にキープしたまま片足スクワットができるようになりましょう。

<まとめ:問題と解決方法>股関節痛/グロインペイン症候群編

  • 1、ストレスがかかり過ぎて固まってしまっている→アイテムを使って股関節周りの硬さをとる(まずはここを徹底してやることが大切!!)
  • 2、骨盤の位置が異常→アイテムを使って骨盤の位置を整える
  • 3、全身が使えずに足だけのキックになっている→背骨や胸郭(あばら)をしなやかに使えるようにする
  • 4、骨盤が安定せずに股関節の筋肉がうまく働いていない骨盤の位置を固定したまま、股関節をゆっくりと自由に動かす練習をする
  • 5、悪い動かし方や悪いクセのせいで運動するたびに負担がかかる→姿勢やキックの蹴り方を意識してなおす

このような流れで毎日繰り返しやっていただくことで、「股関節が痛くてボールが蹴れない…練習を頑張ると股関節がこわばってきて痛くなる…走ったりするのも痛くなってくる」というような症状が和らいだり、改善するかもしれません。

まずは試してやってみてください!!

※正確な診断には精密検査や医師によるアセスメントが必要です。(中には骨盤の剥離骨折、股関節唇損傷、疲労骨折、スポーツヘルニアなどが存在する場合があるのでご注意してください)

林中 和也

林中 和也

「あなたの専属メディカルトレーナー」理学療法士/柔道整復師/日本スポーツ協会認定アスレティックトレーナー/米国認定コンディショニング&ストレングススペシャリスト

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